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リウマチ科

 「リウマチ」という言葉は、みなさんよく耳にされると思いますが、「リウマチ」をふくむ病名がいくつもあるのをご存知でしょうか?「・・・リウマチ」とか、「リウマチ性・・・」といった具合に。じゃあ、いったい「リウマチ」って何?ということになるのですが、狭い意味では本欄でご紹介する「関節リウマチ」を指し、広い意味では関節だけでなく、筋肉や腱の痛みをきたす疾患全般を意味します。また、その病態も関節リウマチのような自己免疫疾患や炎症性疾患に限りません。

 たとえば、やはり本欄でご紹介する痛風や、「整形外科」のページでご紹介している変形性膝関節症や五十肩、頸椎や腰椎の疾患も含みますし、スポーツや仕事などによる使い過ぎで生じる疾患を含むこともあります。また「リウマチ」という言葉が、関節リウマチと同じ自己免疫疾患でも主に内臓が障害される、いわゆる「膠原病」を意味することもあります(全身性エリテマトーデス、シェーグレン症候群、強皮症など)。

 リウマチの語源はギリシャ語の「rheuma」で、「流れ」を意味します。古代ギリシャでは、リウマチは脳から流れ出た悪い液体が関節や筋肉に移動して生じると考えられていたようです。ただ、その「リウマチ」が現在の関節リウマチを指すのか、その他のリウマチ疾患を指すのかは分かりません。ちなみに近年、関節リウマチの病態についての研究は大変進んでいますが、根本的な原因はいまだに解明されていないのが現状です。

 ここでは当院で診療する機会の比較的多いリウマチ疾患として、関節リウマチ痛風脊椎関節炎、そして線維筋痛症についてご紹介します。

​「朝のこわばり」は関節リウマチで非常に多くみられます。起床時に手や全身がこわばって、すぐに動かしにくいという症状です。こわばりは数分でとれることもあれば、数時間つづくこともあります。なお、更年期にも同様の症状をしばしばきたし、朝のこわばりがあるからといって、必ず関節リウマチということではありません。

関節リウマチでは手足すべての関節に炎症や変形が生じますが、比較的多くみられるのは手関節や手指です。早期に適切な治療をしなければ、手指の尺側偏位やスワンネック変形、ボタンホール変形などの特徴的な変形をきたします。

関節リウマチでは足の指にも特徴的な変形をきたします。外反母趾はその一つで、見た目だけでなく痛みも強いため、手術を要することがあります。図は当院院長が考案した、関節リウマチの外反母趾に対するユニークな手術方法で、日本リウマチ学会の発行する英文誌、Modern Rheumatologyに学術論文として掲載されました。ご興味のある方はこちらをご覧ください。

関節リウマチ

 関節リウマチは、本来なら細菌やウィルスなどの外的から身を守るべき「免疫」が、自身の組織を攻撃することによって生じる自己免疫疾患のひとつで、数ある自己免疫疾患のうちもっとも多くみられる疾患です。中年期の女性で比較的多く発症し、女性は男性の3~4倍かかりやすいとされています。日本における患者数は現在70~80万人と推定されています。

 関節の痛みや腫れだけでなく変形や重い機能障害をきたすことから、以前は「不治の病」として恐れられていましたが、近年の薬物療法の進歩によって治療成績が飛躍的に向上し、患者様の生活の質も保たれるようになりました。また、いったん機能障害をきたした関節も、適切な整形外科的手術やリハビリテーションによって機能回復を図ることも可能となりました。

 しかしながら、良好な治療効果を得るためには正確な診断と疾患活動性に応じた適切な薬物療法、さらには関節注射などの整形外科的な治療やリハビリテーションも必要です。欧米では「リウマチ学」や「リウマチ科」の概念がある程度確立しており、薬物療法だけでなく整形外科的な治療やリハビリテーションも含めて総合的な診療が行われていますが、日本では主治医が整形外科医か内科医かによって治療の方針や内容が異なり、結果的に偏った診療になりがちです。

 当院の院長は大阪市北区のクリニックで唯一、日本整形外科学会認定の整形外科専門医と日本リウマチ学会認定のリウマチ専門医の両資格を有しています。また、日本リウマチ学会においてはリウマチ指導医および学会評議員も務めており、関節リウマチ診療におけるオピニオンリーダーです。したがって当院では、薬物療法だけでなく整形外科的な治療やリハビリテーションも含む総合的な診療を行い、治療手段も標準的なものから最新のものまで、幅広く患者様にご提案します。

 以下に、当院で用いることの多い関節リウマチ治療薬を示します。

  • 抗リウマチ薬(DMARD):メトトレキサート(リウマトレックス・メトレート)・サラゾスルファピリジン(アザルフィジンEN)・ブシラミン(リマチル)・タクロリムス(プログラフ)・ミゾリビン(ブレディニン)

  • 生物学的製剤(バイオ製剤):インフリキシマブ(レミケード)・エタネルセプト(エンブレル)・アダリムマブ(ヒュミラ)・トシリズマブ(アクテムラ)・アバタセプト(オレンシア)・ゴリムマブ(シンポニー)・セルトリズマブ・ペゴル(シムジア)

 

 

 

 

痛風

 高尿酸血症を背景として、関節内で尿酸塩結晶が析出することにより関節炎が誘発されて発症します。性ホルモンの影響で高尿酸血症は男性に多いため、痛風も圧倒的に男性、とくに中年男性に多くみられます。また、最近は食生活の欧米化のためか20-30代の若年者にもしばしば発症します。

 特徴的には足の親指の付け根の関節(母趾MTP関節)に関節炎が生じ、「風が吹いても痛い」と表現される強い痛みと局所の腫脹、発赤をきたします。他に足首や膝に発生することもあり、痛みのため歩行困難になることも少なくありません。運動後や飲酒後に発症することも多く、運動中の怪我あるいは飲酒のため記憶していない怪我と本人が思いこんでいる場合もあります。

 治療には、鎮痛を目的として各種の非ステロイド性消炎鎮痛薬(NSAID)が用いられ、さらに痛風の特効薬としてコルヒチンも有名です。ただ、コルヒチンには催奇性などの副作用もあり、とくに若年例では注意を要します。

 

 それ以前に、そもそも痛風の原因は高尿酸血症ですので、尿酸値が高くならないように、尿酸の元になるプリン体を多く含む食品やアルコールを避けるなど食生活の改善が必要です。また、尿からの尿酸排出を促すために水分を十分に摂取することも有効です。それでも高尿酸血症が改善しない場合は、尿酸生成抑制薬や尿酸排泄促進薬を用いて、尿酸値を適正値にコントロールします。

 

 実は痛風や高尿酸血症の患者様には内臓脂肪型肥満、いわゆるメタボリックシンドロームの方が多く、放置すると様々な病気、とくに心臓や脳の血管が詰まったりする「心血管イベント」にもつながりかねません。したがって食事やアルコールの制限はもちろんですが、定期的な運動習慣によって体重を適正に保つことも重要です。

 

 
 
 

痛風発作は、足の親指の付け根の関節(母趾MTP関節)にもっとも多く見られます。炎症が強いと赤く腫れあがり、歩けないほどの強い痛みをきたします。

高尿酸血症の予防には、プリン体の多い食品を避けて水分を多く摂取し、習慣的に運動をすることが重要です。生活習慣の改善によっても尿酸値のコントロールが困難な場合は飲み薬を使います。

脊椎関節炎

 関節リウマチが主に手足の関節に炎症をきたすのに対して、脊椎関節炎では手足の関節に加えて、あるいはそれ以上に脊椎や仙腸関節といった体軸関節に炎症をきたします。また脊椎や関節そのものだけでなく、その近傍の筋腱付着部にも炎症や痛みをきたします。代表的な疾患として強直性脊椎炎、乾癬性関節炎(関節症性乾癬)、炎症性腸疾患(クローン病や潰瘍性大腸炎)に伴う脊椎関節炎などがあり、HLA-B27遺伝子と関連があることが知られています。さらに眼や皮膚、消化器など関節以外の症状を伴うこともあります。ここでは代表的な強直性脊椎炎と乾癬性関節炎について簡単に解説します。

 強直性脊椎炎は比較的若い男性に多く、背中や腰、臀部などに痛みやこわばりを認め、運動により改善することが特徴的です。症状は脊椎や仙腸関節といった体軸関節が主ですが、股関節の変形をきたすことも少なくなく、進行すると背骨や股関節の動きが悪くなり、強直をきたします。また、虹彩炎やぶどう膜炎などの眼症状が合併することもあります。

 一方、乾癬性関節炎は、「尋常性乾癬」という皮膚疾患に関節症状が伴うものを指し、関節症性乾癬とも呼ばれます。尋常性乾癬患者さんの10〜30%で関節症状をきたし、手足や脊椎、かかとやアキレス腱付着部、仙腸関節などに痛みが生じます。多くは皮膚症状が先行しますが、関節症状が先に出現することも少なくありません。

 診断は強直性脊椎炎、乾癬性関節炎いずれも、問診や視触診、血液検査、さらにレントゲンその他の画像検査を用いて総合的に診断しますが、発症早期においては診断が難しかったり他の疾患と鑑別しにくかったりすることもしばしばです。また随伴する合併症に応じて、眼科や皮膚科、内科など、複数の診療科で協力して診断、治療にあたる必要があります。

 治療は、従来は強直性脊椎炎においては非ステロイド性消炎鎮痛薬のみ、乾癬性関節炎においてはそれに加えて抗リウマチ薬や外用塗布薬を使う程度で、十分な治療効果が得られませんでしたが、最近は生物学的製剤を用いることが可能になり、優れた治療効果が得られつつあります。強直性脊椎炎に対して用いる生物学的製剤は、レミケードやヒュミラといった抗TNF抗体製剤であり、乾癬性関節炎に対してはこれらに加えてステラーラ(抗IL-12/ IL-23抗体製剤)やトルツ(抗IL-17抗体製剤)が用いられます。

 当院でも、強直性脊椎炎や乾癬性関節炎をはじめ種々の脊椎関節炎に対して、従来の各種薬剤に加えて生物学的製剤を用いた治療を積極的に実施し、良好な治療成績が得られています。また、強直性脊椎炎の痛みが運動によって改善することからも、脊椎関節炎治療においてはリハビリテーションが非常に重要です。当院では理学療法士や作業療法士による運動器リハビリテーションを積極的に実施しています。

線維筋痛症

 線維筋痛症は最近、有名な米国人女性ミュージシャンが罹患していると告白したことで話題になりましたが、日本線維筋痛症学会発行の「線維筋痛症診療ガイドライン2017」によると、「身体の広範な部位に原因不明の慢性疼痛と全身性のこわばりを主徴候とし、随伴症状として多彩な身体、神経・精神症状を伴い、いずれの徴候も慢性疼痛と同様に身体診察や一般的画像検査を含む臨床検査で症状を説明できる異常を見出せない(中略)機能性身体症候群に属する特異なリウマチ性疾患のひとつ」とされています。

 リウマチ性疾患というと、関節リウマチをはじめとする自己免疫疾患のように何らかの免疫異常が原因となって発症するものと考えがちですが、ここでいうリウマチ性疾患は変形性関節症や脊椎症などの変性ないし非炎症性疾患、すなわち欧米のリウマチ科が扱う疾患や病態もふくむものです。もちろん、各種の自己免疫疾患に続発、合併する線維筋痛症も少ないながら存在しますし、線維筋痛症と類似した症状を呈しながらも免疫異常によって発症し強い炎症をともなうリウマチ性多発筋痛症のような疾患も存在しますので、しっかりとした鑑別診断が必要なことは言うまでもありません。

 ただ、ガイドラインにあるように身体診察や画像検査を含む臨床検査で症状を説明できるような異常を見出せないこと、また随伴症状として多彩な身体、神経・精神症状をともなうことこそ、線維筋痛症の臨床像として特徴的であり、中枢神経系における何らかの異常を背景にした機能性身体症候群のひとつと考えられています。また、心理社会的要因が線維筋痛症の発症に関連したり、症状の強弱を左右したりもします。

 線維筋痛症の痛みは非常に深刻で、従来の痛み止めでは無効あるいは効果不十分なことが多く、炎症性疾患ではないのでステロイドや各種の免疫抑制剤も効果は期待できず、中枢神経系への作用を期待してプレガバリン(リリカ)やデュロキセチン(サインバルタ)などが用いられます。これらの薬物療法に加えて、あるいは薬物療法以前に、各種の有酸素運動やヨガ、太極拳などの運動療法や、精神科領域で行われる認知行動療法をはじめとする心理的アプローチも有効とされています。

こちらもご覧ください(外部リンク)

日本リウマチ財団 リウマチ情報センター 「リウマチQ&A」

リウマチの病態や診断、治療についての情報だけでなく、食事や生活上の注意、さらに妊娠、育児などについてもわかりやすく記載されています。

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